●ミズダコ (水蛸 水鮹) |
形態 |
外套膜(胴の部分)は卵円形表面は柔らかくたるみ、不規則な縦じわが断続している。
背面の眼上に肉質の突起が3〜4個並び、眼の後方にあるものは方形で大きい。
漏斗器(ここから水を噴出した推進力で移動する)はW型。
各腕はほぼ同長で、外套膜と同様に柔らかくたるんでいる。
吸盤は2列だが、根元側では左右交互に位置し、ジグザグ状になっている。
根元から8〜14番目の吸盤は大きくなっていて、各腕の先端は極端に先細っている。
雄の右第三腕は、先端が変形して交接腕となっている。
体色は茶褐色で、腹側は淡色。背景によって、または興奮すると体色を変化させる。 |
生態 |
タコ類の中では世界最大の種で全長3m、体重20kgに達する。水深200m以浅の岩礁域や砂礫底に生息する。
夜行性であるが、夏期は昼間も活発に行動する。しかし、冬期に水温が下がると、活動は鈍くなり餌もあまり獲らない。
交接期は晩秋から春で、北海道では11〜12月が盛期。水深100m以浅の海底で、雄が雌の上に乗り、
腕で雌の体をしっかりと包み込む。
この体勢で雄は交接腕を使って精子の入った精莢(せいきょう)と呼ばれるカプセルを雌の輸卵管に入れる。
産卵期は春から秋で、北海道では5〜6月が盛期となる。産卵場所は水深30〜70mの岩礁帯や砂礫底。
マダコと同様、岩礁のへこみや投棄された古タイヤの内部や壷などの人工物も産卵床として利用される。
卵は長径が8mm前後、短径が3mm前後の長卵形の粘着卵。糸を出してこれが絡み合い、
長さ10cmほどの房状の卵塊となって産卵床に付着する。雌は2週間以上かかって5〜10万粒を産卵する。
その後孵化までの5〜7か月の間雌は卵に海水を吹きかけて新鮮な酸素を供給したり、
腕の先で卵の表面を掃除したり、巣を離れず餌も獲らずに世話をする。
雌の産卵は一生に一回と見られるが、稚仔が孵化を迎えると寿命を終える。
肉食性でアワビ類や巻貝、ホタテガイなどの二枚貝類、ヤドカリや小型のカニ類、カジカ類やギンポ類などの魚類を食べる。 |
漁法 |
主に釣、延縄、底曳網などで漁獲される。北海道では、タコ壷の代わりに箱を沈めるタコ箱漁が盛んである。
主な産地と漁獲時期北海道の各地沿岸で漁獲され、5〜8月、11〜3月が漁期。水深100m前後の沖合いが主漁場となる。 |